Interview with Tuomas Holopainen of Nightwish
Tuomas Holopainen インタビュー (2008年6月9日)
Interview by Dimitris K.
- 私はギリシャ人なので、最初の質問はアテネのライブについて。どうでしたか?
- トラブルは沢山あったけど、ファンたちもスタッフも素晴らしかった。
- 音が悪かったと言う人がいましたが、どんなトラブルがありましたか?
- まずライブで使った設備が適切ではなかった。スケジュールが存在せず、二時間も遅れてしまった上にライブを短くするように言われた。バックステージも食事も飲み物もなにも用意されなかった。スタッフたちは一日中働いたけどさすがに何も食べないとすることもうまくできない。今まではこういう問題がなかった。運が悪かったかも知れない。それなのに皆はすごく頑張った。
- OK、次の質問。ファンとメディアからのプレッシャーはすごかったと思うけど、アネットはそれにどう耐えますか?
- アネットはどんどん上手くやれるようになってるし、自分の役割をちゃんと把握してるからライブも上手くて楽しくやっている。何も心配することはないと思う。しかし、彼女はプライバシーのことを心配するみたい。時々ファンから抱きしめられることとかもある。そういうとき彼女はいつも「何故なの?」とか言っている。でも、この問題以外は大丈夫。去年のことを考えれば彼女はすごく頑張ってきた。私からA+!
- 新しいボーカルを探すのは大変でしたか?
- いや、そうでもない。確かに時間がたくさんかかった。14ヶ月で2000通のデモを聴いた。けど振り返ってみれば楽しかったと思う。
- 「楽しかった」って、どういう意味ですか?
- (笑)ある意味楽しかった。二週間ごとにみんなで段ボール箱の周りに集まってデモを聴いた。たくさんの特別な歌声を聞くのはかなり楽しかった。
- 何か変なデモも来ましたか?
- 確かに変なデモはいっぱい来た。年齢的に12歳の人も66歳の人からのデモもあった。頑張っているのもあったよ。結局10人を選んでその10人と会った。最後に残った3人の中でバンドの皆と相談して Anette に決めた。バンドのメンバー全員が彼女を気に入ったんだ。
- ボーカルのスタイルを変えることをいつ決めましたか?
- これは最初から決めたことだ。とりあえず Tarja のような声の人は欲しくなかった。Tarja の物真似で素敵なボーカルになり得る人はいないから。だから違うような声で歌いながら強い感情を込められる人を探した。
- 新曲は Anette がバンドに入る前から出来ていましたか?
- そう。Anette がバンドに入る前からに全て録音されていた。女性ボーカルとオーケストラの一部を除いてね。
- 彼女にとって大変だったはずです。普通はボーカリストの声に合わせて曲を作るでしょう。
- それは私も分かっている。だから次のアルバムの曲作りはもっとうまくできると思う。“Dark Passion Play”の歌詞とハーモニーはもう書いてしまったから、Anette は言われたとおりに歌う以外に何も出来なかった。全てのレコーディングは3週間もかからなかった。彼女は素晴らしかった!
- アメリカのライブはいくつかキャンセルしたけど、どうしましたか?
- 機材をメキシコから運ぶ飛行機がキャンセルされたので、スケジュールどおりにライブをすることができなかった。だからUSツアーの最初に二つのライブをキャンセルするしかなかった。
- 今回のツアーはかなり長いですね。スケジュールは大変ですか?
- 最初はものすごく大変だった! 10月から今まで115回もライブをやった。今日のライブはUSでの最後のツアーだ。皆は疲れたけど、これでやっとリラックスできる。今夜はパーティーだ! ツアーは楽しかったけど、さすがにやっと家に帰れるのが嬉しい。
- John Two-Hawksさんも2回ライブに参加しましたが、どう連絡したんですか?
- 全ては“Creek Mary's Blood”から始まった。ネイティブ・アメリカンの苦しみを語る曲なので、ネイティブ・アメリカンのサウンドも入れようとした。ネイティブ・アメリカンの音楽家をググったところ、John Two-Hawks のホームページを見つけた。メールを送ったら、次の日に返事がきた! 結局彼に曲作りにもライブにも参加してもらうことになった。今日のライブは4回目の共演だと思う。
- ネイティブ・アメリカンの歴史に興味がありますか?
- うん。私の前世はネイティブ・アメリカンだったかも知れない。そしてネイティブ・アメリカンは自然と一緒に暮らしてきて人生のことを深く分かってると思う。現代の人間は自然とのつながりを失ってしまった。
- では、歌詞はどれぐらい大切ですか?
- 自分にとって歌詞はすごく大切だけど、音楽もとても大切だ。今は音楽だけを上手く書いて、歌詞はそこそこという人が多い。私はどの曲でも物語を伝えたい。Nightwish の歌詞のテーマは、愛、憎しみ、夢、望みなどで、ほかのバンドとそれほど違ってはないだろう。でも言い方が大切だ。言語と詩歌は世界でもっとも素晴らしいことだと思う。だから歌詞で伝えたいことを特別な言葉で伝えると良い。例えば Bon Jovi の“Always”の歌詞は大嫌いだ。曲は良いけど、愛を伝えるのに“oh baby, I will always love you”という言葉だけではないだろう。
- 音楽か、歌詞か、どちらを最初に書きますか?
- 普通、最初に思いつくのは曲のテーマだ。その後に曲想。語りかけたいストーリーに相応しい音楽、まず音楽を書いてから最後に歌詞を書く。
- “The Islander”のビデオはあなたのアイデアでしたか?
- 私たちのアイディアだ。灯台、船を引く船員を入れたかった。その船が飛ぶのはディレクターのアイデアだ。すごいアイディアだよね! それで私が考えたのはバンドの皆でキャンプ・ファイアのそばで歌うことだけど、ディレクターは火をに囲まれて歌うほうが良いと考えて、実際にそれが上手くいった。
- どうしてそんなにフィンランドのメタル・バンドが多いのだと思いますか?
- 答えようとしてもなかなか答えられない。北欧の国々は皆メタルが大好きで、血管に重金属が流れていると思う。アメリカ人のヒップホップとかジャマイカ人のレゲエと一緒のことだろう。そして北欧の人は心の底から素直に頑張っているからファンたちもそれを認めてくれる。
- そうですね。さて、Indica の新しいアルバムのプロデューサーになったのは何故ですか?
- Indica の皆に頼まれただけだ。単純な話、Indica の活動が始まってから結構好きだったし、彼女たちは過小評価されてると思う。北欧ツアーで私たちのサポートを務め、そこで皆と友達になった。
- 他のバンドのアルバムをプロデュースすることに興味がありますか?
- いや、興味がない。だから Indica に頼まれたときもしばらく考えた。でも基本的に Nightwish 以外のバンドのプロデューサーはやりたくない!
- 2000年にユーロヴィジョンの準決勝に進みましたが、優勝できなかった…
- それはよかった!
- もう一回挑戦しようと言われましたか?
- 言われたよ! ある曲で一度頼まれたけど断った!
- 何故ですか?
- ユーロヴィジョン・コンテストなんてくだらない……音楽祭と言われるのに政治関係が多い。見るのは楽しいけど…… ABBA 以外に優勝して有名になったアーティストはないだろう。
- ライブ DVD を撮影する予定がありますか?
- このツアーの最後にライブ DVD を撮影しようかなと思ったけど、その前に Anette ともう一枚のアルバムを出してから撮影することに決めた。だから次のアルバムを出してからライブ DVD を出す予定だ。
- そういえば、次のアルバムについては何か決めましたか?
- 2010年の春にスタジオを予約した。歌詞もアイデアも沢山あるし、1曲は出来ている。でも私はツアーの途中に新しい曲を作れない。平穏な場所で何週間もかけて打ち込みたい。
- Anette が加入して次のアルバム、何かスタイルの変化を考えていますか?
- 変化はそんなに大きくないと思う。とりあえず曲を作る前からどんなスタイルになるか、考えたくない。良い感じの曲だったら私はそれで満足だ。でも、最後のアルバムについて決めてあることは一つだけ、それは全てアコースティックにすることだ。なぜなら、最初の Nightwish の曲は全てアコースティックだったからだ。
- アコースティックからエレクトリックに変えようとしようとしたのはいつですか?
- スタートして何ヶ月か後にキーボードとアコースティックの楽器だけで出来ることがそれほどないことが分かったから、エレクトリックにした。単に退屈だった!
- アコースティックのライブをしようと思いましたか?
- これは何回も聞かれたけど……アコースティックだけのライブをやる勇気がない。“The Islander”や“Nemo”みたいな曲だけにしたらいけるかも知れない。でも全ての歌を可能な限りシンプルにするしかないだろう。
- 最後に個人的な質問ですけど、最新アルバムのレコード盤が大好きです。これからもレコード盤を出し続けるつもりですか?
- もちろん。自分たちにとって完全に新しいビジュアルだし、私はプレイヤーを持ってないけどNightwish の全てのアルバムのレコード盤を持っている。
- 見た目も良いけど、音の質も素敵ですね。
- 確かにそう言われることが多い。私もプレイヤーを買うよ。
- ありがとうございました。最後に何か言いたいことがありますか?
- ギリシャのライブで誰かを怒らせたとしたら、申し訳ない。悪いことがたくさんあったから私たちもいらいらした。それなのにファンたちは素晴らしかった!