Live in Japan 2005 report
2005年初来日ツアー ライブ・レポート
1997年のレコード・デビュー、そして1999年の日本盤発売以来の待望の初来日公演は、2005年3月12日の大阪なんばHatchから始まった。さらに日本ツアーは翌13日の福岡ZEPP FUKUOKAへ。残念ながら初来日公演を見ることは出来なかったが、さらに2日間のオフを挟んで行われた3月16~17日の東京SHIBUYA AX公演を見ることが出来たのでレポートを。日本での初めてのライブを楽しみたかったので、メモなどは無し。覚えてる限りでのレポート。
ちなみにNightwishのライブは基本的に写真撮影が出来るのだが、ここ日本では厳禁と言うことで写真は無い。残念だが文章だけで書いていかなければならない。大変だ! いや、読む方が大変か。
初の日本ツアーは南米の雄Angraとのカップリング・ツアーという形で行われ、4都市5公演という比較的大きな規模でのツアーとなった。Nightwishファンはもちろん、アルバムの売り上げも大きく人気も高いAngraファンにヨーロッパ随一のパフォーマンスを見せつけるいい機会になった。
日本での浸透度が圧倒的に高いAngraとのショーということで前座的な扱いになるのかと少し心配していたが、実際始まってみるとNightwishは約80分のパフォーマンス。通常はアンコールを含めて90分程度なので、ほぼフルセットといえる。セットリストだが、5枚分のマテリアルを抱えての初来日公演と言うことで特別なセットリストという期待もあったがそれはなく、あくまでも現役バンドの最新ツアーの一環というものになっていた。以前の名曲も聴きたいし、アルバム“ONCE”の完成度を考えれば新曲もやはり多く聴きたい、そんなもどかしい思いをしつつも、次から次へと繰り出される名演の数々を目の当たりにしてしまうと文句も言えないのであった。
大阪公演目前にNightwishメンバーに会えたKOHさんに写真を頂きました。ありがとうございました!2005年初来日ツアー オフ・ショット
- 3月12日(土) 大阪 なんばHATCH (トピック)[オフ・ショット]
- 3月13日(日) 福岡 ZEPP FUKUOKA (トピック)
- 3月16日(水) 東京 SHIBUYA-AX (トピック)
- 3月17日(木) 東京 SHIBUYA-AX (トピック)
- 3月18日(金) 名古屋 ZEPP NAGOYA (トピック)
2005年3月16日 SHIBUYA-AX
開場40分前に到着すると既に長蛇の列が。グッズ販売の列とのことなので早速並ぶ。と、よく見ると「直筆サイン入りツアーパンフレット」の貼り紙! 買おうと決めるが、目の前に積まれているパンフレットは続々と消えていく。ようやく順番が回ってきたので注文してみるが「売り切れちゃいました」とのこと。パンフレットを抱えて列から消えていく目の前の人が恨めしい。が、そんなことを考えても仕方がない。明日入荷するとのことなので大人しくTシャツを買って列を離れる。
周りを見るとさすがにAngraシャツを着た人が多い。そんな中でもちらほらとNightwishシャツを着た人も。WishmasterやOceanbornのシャツを着た人もいて、何となく心強く思ったり。ロングドレスを着た人も見受けられたが、Nightwishファンかな。
会場入りし、Marcoの定位置(若干下手寄り)の前へ。早々に入場したため、約1時間を待つことになる。アルバム“Once”のジャケットをもとにしたバックドロップが見える。実感が湧いてくる。そんなNightwishとの初めての接触に胸を躍らせていると、声援があがった。フィンランド語! 国旗を振り、歌い始めたがスタッフに注意されてしまった。あれはフィンランド国歌?
青いスポットが“Angel Of Grief”を照らす。オープニングSEが流れ、会場がざわめき始める。そしてJukkaの影が見える。大きな声援が起こる! Marco、Emppu、Tuomasが現れ、場内の興奮は一層高まっていく!
Dark Chest Of Wonders! 観客は一気にヒートアップする。さらにTarjaが現れると大きな歓声が! 待ち望んだNightwishがいよいよ目の前に現れたことで会場はエキサイトし、バンドも満足そう? Marcoはステージを右に左に観客を煽り、Emppuはステージを走る。Tarjaはアルバム以上の美声を響き渡らせ、観客を沸かせる。中盤、曲がブレイクしてテンポダウン。力強いリズムを挟んでTarjaがさらに歌い上げる。すごい。夢のような時間は始まったばかりだというのに、既に満足感が出てくる。
ステージからメンバーが消え、暗転。そして聞こえてくるクワイア。Planet Hell。再び現れたメンバー達に声援が送られる。Jukkaのスネアが生音で聞こえてくる距離、そしてMarcoの目の前。歌い始めた彼の声に頭が揺さぶられる。とんでもない声をしている! こんな素晴らしいボーカリストを二人も擁するとは、なんと贅沢なバンドだろう。歌をTarjaにバトンタッチすると右へ走り去る。本当にアクティブに動き回っている。
Tarjaの挨拶を挟んで次はThe Kinslayer。人気が高いのか観客はさらにうねる。一緒に歌う人もいる。Jukkaのドラムスは非常に素晴らしく、バス・ドラムが豪快に鳴りまくっていた。殺人者と対話する場面でのTarjaの姿には胸を打たれる。素晴らしいパフォーマー達だ。
MarcoのMCに紹介され、次の曲はThe Siren。この曲を敢えて取り上げるのは奇妙に思われたが、その理由はすぐに分かった。エネルギッシュな楽曲が並ぶセットリストの中、絶妙な雰囲気を醸し出してTarjaの別の魅力が引き出される。歌声は終始、とりわけ中近東風のフレーズはアルバム以上の魅力があった。Marcoとのコンビネーションも良く、Tarjaが「Come to me...」と手を差し伸べると観客もそれに答える。途中のバイオリン・ソロの代わりはTuomasのキーボード・ソロ。原曲のメロディをモチーフにしながらも少しずつ崩しながら盛り上げていき、最後は鍵盤を叩きまくる!
エンディングのSEがフェードアウトするとともにTuomasのシンセが響き始め、セイレーンが静かに歌い始める。「In sleep he sang to me...」イントロを省略し、Tarjaの独唱でThe Phantom Of The Operaが始まった。オペラ座の怪人が歌い上げ、クリスの美声がそれに応える。オルガンが奏でるおなじみのメロディとヘヴィにアレンジされた楽曲が心地よく盛り上げてくれる。Century Childには収録されなかったエンディングのハイトーン。シャウトする怪人。打ち鳴らされるドラムス。震え上がるようなパフォーマンスは前半最高のハイライトになった。
Tarjaがステージから消え、Marcoが喋り始める。Mrs.Turunenはここで一休み。男ばかりが残ったステージで演奏されるのは……MegadethのSymphony of Destruction。Marcoそのものの声が響き渡る。
そしてBless The Childのコーラスが聞こえ始める。Tarjaの澄んだ声、Tuomasの豊かなオーケストレーション、JukkaとMacro、Emppuのリズムが観客の熱気をさらに引き出す。エンディングは止まらないかのように観客がうねっていたように思えた。
続いてWishmaster! ボルテージは最高潮に! 強力なクワイア、轟くリズム、美しいヴァースの歌声、それが混沌となって押し寄せる。止まることのないドライブ感によって観客も動き続ける。人気も高いようで一緒に歌っている人も多い。
そしてKuolema Tekee Taiteilijan。この曲も何故やるのか不思議だったが、結果的にTarjaの最高の見せ場に。歌声に静かに聴き入る観客。壮麗な歌声が会場を覆い尽くしてゆく。フィンランド語のこの歌は最高のプレゼントになった。そして観客は賞賛の拍手でそれに応えた。聴けてよかった……。
Slaying The Dreamer! 最高にヘヴィな楽曲の登場で会場はまた興奮の坩堝と化した。アルバム以上にパワフルなTarjaの歌声。それ以上に煽りまくるNightwishのメンバー全員のパフォーマンス。残念だったのはEmppuのギターが聞こえづらかったこと。ギターは終始アンサンブル重視で控えめだったが、やはりこの曲はもっとパワフルなギターを聴きたかった。だがJukkaのドラムスとMarcoが素晴らしい働きを見せ、Tuomasのシンセとともに恐ろしいまでのエンディングの盛り上がり。二人のボーカリストの歌声は異常なまでの緊張感を演出していた。
TarjaがTuomasのキーボードを紹介する。流れてくるのはNemoのメロディ……Jukkaのハイハットに導かれて本編がスタート。甘美なピアノのメロディと重いリズムが再現される。優雅で悲しみを含んだ流麗な歌が目の前で歌われている。そして本編ラストにふさわしい荘厳なエンディングをもってメンバーはステージ上から消えていった。
止まない拍手はNightwishを求め続け、それに答えてJukka、そしてTuomasが登場。声援が飛ぶ。二人の演奏とともに始まったのはGhost Love Score! オーケストラとドラムスにEmppuとMarcoも加わり、物語は始まった。豊かな歌声に引き込まれてゆく。本当に美しい。そしてクワイアとともにコーラスを歌い上げる。Tuomasの築くオーケストラ、めくるめく音の渦に引き込まれそう。筆舌に尽くしがたいというのはこのことか。この曲は一番のハイライトだったと思う!
10分を超える一大叙事詩が終わり、Marcoがマイクに向かってMC。ウォッカのボトルを手に取り、「Cheers! カンパイ!」一気にあおる。どよめく観客。フィンランドのウォッカが無くて、これはスウェーデン産なんだ……とか言いながらグビグビ。他のメンバーは笑いながら見ていたが、Tarja以外(?)みんな飲みながらのライブ! Tuomasはキーボードにドリンクホルダーをつけてワインボトルを入れ、さらに足下にサッポロ黒ラベルを置いてチャンポン。しかも走り回るEmppuを捕まえては口に注ぎ込んでいた。そんなEmppuも曲中にまでビール缶に口を付けてたし。
最後にもう1曲……とMarcoが言うと観客席から「Wish I Had An Angel!」と声が飛ぶ。「その通りだ」とニヤリと笑い、「君たちにエンジェルをプレゼントしよう」と始まったWish I Had An Angel! ストレートなこの曲は観客もお気に入りで、二人で歌い始めるコーラスにすぐに反応した。素直な観客の熱気にバンドのメンバーも嬉しそうにプレイ。素晴らしい盛り上がりのままエンディングへ。
エンディングSEが流れる中、5人が手をつなぎ深々とお辞儀。観客は大きな歓声でそれに答えた。このときEmppuがステージに投げ入れられたフラッグを手に取ったが、時間がなかったようで広げる間もほとんどなくステージ袖に消えていった。日本の日の丸とフィンランドのスカンジナビア十字のようなものが見えたのだが……。
- Dark Chest of Wonders
- Planet Hell
- The Kinslayer
- The Siren
- The Phantom of the Opera
- Symphony of Destruction (Megadeth cover)
- Bless the Child
- Wishmaster
- Kuolema Tekee Taiteilijan
- Slaying the Dreamer
- Nemo
- (Encore)Ghost Love Score
- Wish I Had An Angel
東京の初日と言うこともあって気合いが入っていたのか、ソリッドでとても素晴らしいパフォーマンスだった。Tarjaは、歌声はもちろんのこと、セクシーな装いもヘヴィ・メタルには似合わない上品さがあって、写真やビデオでは分からない華麗さにあふれていた。また観客を操る方法を知っているようで、みんな彼女の求めるままに声を出し、腕を上げ、手を叩いていた。Tuomasはやはりアグレッシブなステージ・パフォーマンスが印象的。鍵盤を叩き、連獅子のように頭を振る。派手なプレイは少ないが、オーケストレーションを演出する最高のプレイだった。Jukkaは一挙手一投足も見逃させまいと見応えのあるプレイ。個人的に彼のリズムは大好きなので素直に曲に乗れて楽しい! Marcoの存在感は圧倒的。骨太でうねりのあるベース・プレイは最高だったし、なんと言っても歌声が凄い。現在のNightwishになくてはならない存在なのだと再認識。Emppuは常にステージを駆け回り、観客を煽り、他のメンバーにちょっかいを出し……。彼の存在は本当に会場を楽しませていた! この5人がいる限りNightwishの勢いは止まりそうにないことを体感!!
日本ツアーで売られていたTシャツ3枚のうち2枚。左は日本ツアー独自のもので、裏はツアー日程。右は日本/オーストラリア・ツアーのもので、表はアルバム“ONCE”のジャケットがモチーフになっている。ここに写っていない残りの1枚はオフィシャル・ショップでも販売されていたHigher Than Hopeをモチーフにしたもの。
2005年3月17日 SHIBUYA-AX
東京公演2日目。昨日より早めに到着してグッズ売り場に並ぶ。まだ人は少なく順番はすぐに回ってきたが、訊くとまだ入荷はない、あとから入荷するかも知れないが何とも言えない、とのこと。入荷するって言ってたのに! だが本人達がサインする時間をとれないとのことで、これはどうしようもない。入荷したら知らせるとのことなので売り場を離れる。
心なしかNightwishシャツを着ている人が多い気がする。入場し、今日はTarjaの目の前へ。パーティション(なんて言うんだろう。もたれかかる柵)に肘をついてNightwishの登場を待つ。開演時間が近づき、客席が照らされた。騒げと言うことか? しかし恥ずかしがり屋の日本人、Angraファンに囲まれて騒ぐ勇気はありません……? 何も起きずに開演時間に。
昨日と同様、オープニングSEが流れる。そして声援が沸き起こる、手拍子が始まる。昨日より明らかに盛り上がっている! 前方に人が押し寄せ、メンバーが現れると大歓声とともに腕が上がる。明らかに空気が違う。
Tarjaが現れた! あれ? ヘアスタイルが変わってる。ウェーブになってる! Tarjaが頭を振る。髪がなびく。優美になっている。連続2日目なのに凄く新鮮な気持ち。やられた!
1曲目はやはりDark Chest Of Wonders。Tarjaは激しくヘッドバンギングし、オーディエンスを煽る。一緒に歌う人も多い。昨日も意外なほど盛り上がったが、今日はそれを上回っている。続くPlanet Hellもイントロから手拍子と声援。コーラスはMarcoと一緒に歌う。しかしMarcoの声が昨日と違うような気が。
Tarjaは「Wonderful, wonderful」と繰り返していた。やはりステージからも昨日とは違う熱気が感じられるよう。
Marcoはやはり調子が変だったようで、The Phantom Of The OperaではTarjaと見つめ合ったりという小粋な演出を挟んではみたものの、自分が歌うパートなのを危うく忘れかけてマイクへ飛んで帰ったりして2度ほど歌い出しに失敗し、この日は残念なことに。酔っぱらっていたのか、昨日とは違ってギャグもとばしていた。「東京での初めてのライブだ!」 「俺のスピリット(精神)にスピリッツ(ウォッカ)を注ぎ込む!」 喋るたびに笑いを取りに行くMarcoであった。
そしてMarcoが歌うカバー曲。前日とは変わってPink FloydのHigh Hopes。期待以上の素晴らしい演奏で歌をバックアップしていた。
この日もやはりWishmasterが盛り上がる。The Kinslayerの受け入れられ方も考えると、このアルバムはかなり浸透度が高いようだ。そしてやはり盛り上がるのはアンコールのGhost Love Score~Wish I Had An Angel。特に後者はかなり人気があるようで、熱狂のまま東京でのライブは幕を下ろした。
Emppuは昨日と同様にステージを走り回って観客にもっと騒ぐように要求し続け、Marcoの後ろにまわっては角を出させてみたりといたずらっ子のようにはしゃぎ回りながらプレイ。Marcoは既に書いたように上機嫌。Tuomasも観客の反応に満足そうにプレイしていたし、Jukkaは昨日と変わらず見せてくれるプレイ。より艶やかになって戻ってきたTarjaは昨日に続き素晴らしい歌声を聞かせてくれた。
- Dark Chest of Wonders
- Planet Hell
- The Kinslayer
- The Siren
- The Phantom of the Opera
- High Hopes (Pink Floyd cover)
- Bless the Child
- Wishmaster
- Kuolema Tekee Taiteilijan
- Slaying the Dreamer
- Nemo
- (Encore)Ghost Love Score
- Wish I Had An Angel
初めてのNightwishライブ体験だったが、こんなにも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるとは、本当に期待した以上だった。観客も熱狂的に迎え入れていたし、次回は是非単独公演、もしくはヘッドライナーとしての来日を期待!!
残念ながら帰宅時間の関係もあってAngraを見ることはできない。念のため帰り際にグッズ売り場へ行ってみるが、やはりパンフレットは入荷しなかったとのこと。がっかり。……と、目をレコード会社の売り場へ向けるとNightwishのサインが見えた! どうやらNightwishのアルバムを購入すると付けてもらえるらしいのだが、全部持ってるよ。バージョン違いならともかく、全く同じ商品を買うのもなぁ……AngraのCDを買えば付けてくれるだろうか 「付かないよ」 当然だ。だが、見かねたのか「しょうがない、このCDに特別に付けるよ」と、Nightwishの曲が収録された“Spinefarm : The Revolutionaly Thunder! Vol.1”にサインを付けて売ってくれた! 素敵なおじさま、ありがとう!
今回手に入れた直筆のサイン。左上から時計回りにTarja、Emppu、Tuomas、Jukka、中央がMarco。